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北海道札幌市のイメージナビ株式会社のエンジニアによるブログです。
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月別アーカイブ: 2015年2月

AWSやAzureなどのクラウドサービスは柔軟に大規模な構成まで組めるのが魅力ですが、その反面サーバーが1台~数台だけ必要な場合には従量制であることもあって費用が割高になることがあります。かといって、共用レンタルサーバーでは費用は低く抑えられるものの、複数ユーザーとの共用環境になってしまうので自由な運用が出来ない、パフォーマンスに問題が出るなど不便な面が目立ちます。そこで、費用をそこそこに抑えつつ比較的自由な運用ができるVPSの出番となります。

 

■VPSとは
VPS(virtual private server)と呼ばれる仮想サーバーです。提供されているサービスにもよりますが、管理者権限はもちろんOSを再インストールすることも可能なサーバー環境で、オンプレミス環境や専用サーバーのような自由度の高い運用が可能になります。

今回は数あるVPSサービスの中から、さくらインターネットの「さくらのVPS」を利用してみました。

sakura_vps_20150202

 

■メリット
さくらのVPSのメリットはなんと言っても手ごろな料金とスペックではないでしょうか。AWSやAzureの同等インスタンスと比べて約1/2~1/3程度の料金です。最低プラン(1CPU、MEM:512MB、SSD:20GB)だと月額635円という低料金です。流石にこのスペックでは少々厳しい面もあるので上のプランを選ぶことが多いと思いますが、2つ上のプラン(3CPU、MEM:2GB、HDD:200GB or SSD:50GB)でも月額1,580円という非常にコストパフォーマンスのよい料金になっています。もちろん定額制なので後から稼働時間や転送量といった課金は発生しません。
VPSなので管理者権限もありますし、CentOS(5/6/7)を始め、Ubuntu(12.04/14.4)、FreeBSD9.3、Debian(6/7)、Fedora19など様々なOSをインストール出来るようになっています。
また、さくらのVPSはさくらのクラウドへのマイグレーションが可能となっていますので、将来的にVPSでは不足するような時にも安心かと思います。

 

■デメリット
さくらのVPSでは契約時にスペックを決めると後から変更はできません。どうしても変更したい場合は新たなVPSを契約して移行するか、さくらのクラウドへ移行することになります。
ただし、本契約の前に2週間のお試し期間がありますので、その間にスペックが足りるかどうかは十分検証できるのではと思います。お試し期間中は若干の制限があり、メール送信用のポートが閉じられていたりネットワークに帯域制限がかけられていますので注意が必要です。

 

■実際に使ってみました
早速さくらのVPSの2GBプラン(HDD)をお試し期間に利用してみました。
ブラウザ上でコントロールパネルからVPSサーバーの起動停止や設定を行うことができ、コンソール画面も開くことが出来ます。また、CPU使用状況、トラフィック、ディスクI/O状況のグラフを見ることも可能です。

sakura_vps20150201

 

まずは試しに自社内のVMWareESXi4.0上で稼働している仮想サーバーの1台をVPSへ移設してみました。
移行元の環境は小規模なeコマースサーバーを想定したもので、CentOS、MySQL、Apache、EC-CUBEとなっています。移行とはいいましたがVMWareESXiのイメージをそのままインポートすることは出来ませんので、VPSサーバーにMySQL、Apache、EC-CUBEをインストールし、そこに設定とデータをコピーしました。よくあるサーバー移行作業のような感じです。OSは最初から標準のCentOS6 64bitが入っていますのでそのまま使用しました。

結果は…当たり前といえば当たり前ですが、従来環境と遜色なく普通に利用できました。

sakura_vps20150203

 

VPSホストのハードウェアスペックについては公表されていませんが、/proc/cpuinfoを覗いてみるとCPUはXeon E5-2640 2.5GHzとなっていました。ホスト機のCPUがそのまま表示されているようです。スペック的には全く問題ありません。

※HDDプランの場合
[root@tk2-xxx-xxxxx ~]# cat /proc/cpuinfo | grep “processor\|model name\|MHz”
processor : 0
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2640 0 @ 2.50GHz
cpu MHz : 2499.998
processor : 1
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2640 0 @ 2.50GHz
cpu MHz : 2499.998
processor : 2
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2640 0 @ 2.50GHz
cpu MHz : 2499.998

 

懸念していたディスクのI/O性能も十分過ぎるので、ここがボトルネックになるようなことも無さそうです。

※HDDプランの場合(5回連続で実行した結果を抜粋)
[root@tk2-xxx-xxxxx ~]# hdparm -t /dev/vda
/dev/vda:
Timing buffered disk reads: 1362 MB in 3.00 seconds = 453.60 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1418 MB in 3.00 seconds = 472.39 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1404 MB in 3.00 seconds = 467.27 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1422 MB in 3.00 seconds = 473.81 MB/sec
Timing buffered disk reads: 1406 MB in 3.00 seconds = 468.64 MB/sec

 

HDDだけではなくSSDプランもあります。もしI/O性能が必要な場合は最初からSSDプランを選ぶと良いでしょう。

※SSDプランの場合(5回連続で実行した結果を抜粋)
[root@tk2-xxx-xxxxx ~]# hdparm -t /dev/vda
/dev/vda:
Timing buffered disk reads: 2466 MB in 3.00 seconds = 821.75 MB/sec
Timing buffered disk reads: 2650 MB in 3.00 seconds = 883.15 MB/sec
Timing buffered disk reads: 2638 MB in 3.00 seconds = 879.30 MB/sec
Timing buffered disk reads: 2634 MB in 3.00 seconds = 877.81 MB/sec
Timing buffered disk reads: 2590 MB in 3.00 seconds = 863.02 MB/sec

 

ちなみにSSDプランのcpuinfoはこうなっていました。CPUは一世代新しいXeon E5-2650v2 2.6GHzでした。

※SSDプランの場合
[root@tk2-xxx-xxxxx ~]# cat /proc/cpuinfo | grep “processor\|model name\|MHz”
processor : 0
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2650 v2 @ 2.60GHz
cpu MHz : 2599.998
processor : 1
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2650 v2 @ 2.60GHz
cpu MHz : 2599.998
processor : 2
model name : Intel(R) Xeon(R) CPU E5-2650 v2 @ 2.60GHz
cpu MHz : 2599.998

※注)料金やハードウェアスペック、ベンチマークの結果は2015年2月に使用した時のものであり、これを保証するものではありません。

 

あと、VPSにはファイアウォール機能がありませんので、OS側でしっかりと対策を取ることが必要です。例えばsshはポート番号を変更の上、IPアドレス制限や鍵認証などを併用するとよいでしょう。

安定性については長期的に使用してみないことには解りませんが、試した範囲ではレスポンスが悪くなったり、応答が無くなったりといったことはなく、ごく普通に安定している印象を受けました。

 

■バックアップ
クラウドではインスタンスのスナップショットやディスクイメージを簡単に作ることが出来るので万が一の時に備えることも容易ですが、残念ながらVPSにはその機能はありません。バックアップはオンプレミス環境同様の対策を取る必要があります。さくらのVPS利用者の中でよく使われているMondoRescueでディスクイメージを作成する方法や、試したことはありませんがDropbox、AmazonS3にバックアップしている例などもあるようです。
今回はcronとscpを用いて必要なディレクトリを別サーバーに保存するという単純な方法をとりました。効率は良くありませんが最低限のバックアップは取れるかと思います。

 

■まとめ
APIを用いてサーバーを操作したり負荷に応じて動的にサーバを上げたり落としたり…というようなクラウドならではの使い方はVPSでは出来ませんが、1台~数台のサーバーで賄えるサービスを展開する場合には有力な選択肢になるのではないでしょうか。ちょっとしたテスト環境として使うのもいいかもしれません。
今回は試していませんが、VPSでもローカルネットワークを構成して複数台でスケールアウトするような凝った構成ももちろん可能です。

こういったサーバーのサービスにはレンタルサーバー、VPS、クラウドなど様々なサービスがありますので、状況に応じて最適な選択をするのがポイントとなりそうです。

 

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